なぜ、今
ロボット × エンジニアリング なのか?

2025年12月19日 記

かつて電卓が登場したときに「算盤(そろばん)」は不要になると言われました。しかし、段位取得や大会での研鑽を通じて「個性を磨く文化」は、今もなお多くの人を惹きつけています。計算のための道具から、考える力を養い、自分を表現するための道具へと役割を変えていったのです。

これは移動手段としての車があるのに、私たちが「健康や身体を鍛えるため」にスポーツをするのと同じ理由です。

今、「プログラミング」も大きな転換期を迎えています。デジタル上のどう実現するか(How)の提案と、その実行(プログラミング)を、AI が肩代わりしてくれる時代になりつつあります。小さな頃からプログラミングが大好きだった当教室の講師としては、少し寂しい気持ちもあります。

ただ、「ロボット」は違います。理不尽なノイズに満ちたアナログな「現実世界」には、デジタルの AI もまだ適応できておらず、どう実現するか(How)の提案にとどまっているのが実状です。このアナログな世界を思い通りに動かすことは人間にしかできない部分が多く、しばらくは人間と AI とロボットの共同作業であり続けるでしょう。

そこで、これからの時代の即戦力として必要なのは、プログラムを書く力だけでなく何を解決したいか(What)という課題を自ら考え、AI やロボットなどの道具を使いこなして答えを導き出すエンジニアリング※1の力です。いずれ、プログラミングは実務的な道具から「考える力を養い、自分を表現する」ための道具※2へと、算盤のように役割を変えていくことになるでしょう。

しかし算盤とプログラミングは大きく異なる点があります。それは、AI 自体がプログラミングで構成されており、プログラミングこそが現代技術の「根幹」であるという点です。プログラミングの「仕組み」を深く理解していること※3で、AI の間違いを見抜き、自在に使いこなすことができるようになります。これはエンジニアリングの力をさらに高めることにも繋がります。

ロボットきょうしつヒナタ屋® は開校以来、一貫してこのエンジニアリングを「お子様の教育」の軸としてきました。そこで、当教室の実状と時代の流れに合わせ、この度「ロボットプログラミング」からロボットエンジニアリング※4へと名称を改めました。

より本質的で、どんなに時代が変わっても色あせない「生きる力」を育んでいきたいと考えています。

  1. サイエンス(科学)で発見した「自然法則」を人間に「役立つ方法」にすることがテクノロジー(技術)です。この方法を「製品や仕組み」として人間が使える形にすることがエンジニアリング(工学)です。プログラミングはエンジニアリングに含まれます。
  2. 現在は人間と AI が一緒に実務をするため、人間用の高級言語でプログラミングし、PC やロボットへ命令する時に機械語(0と1の信号)へ翻訳しています。いずれ AI だけで実務をするようになれば、高級言語を使わず機械語で直接命令するため、高級言語の実務的な意味がさらに薄れていくかもしれません。そうなったとしても、人間が AI そのものを作ったり管理したりするためには、高級言語が必要となります。
  3. 当教室では、プログラミングの仕組みを体系的に理解する「ジュニア・プログラミング検定」等の資格取得や、コンテストへの挑戦を応援しています。

    資格・コンテストへの挑戦をサポート

  4. 学術的には「ロボットエンジニアリング」より「ロボティクス」が一般的です。しかし、お子様への分かりやすさと、「物理 × 論理 に基づいた設計・構築・解決」というエンジニアリングのプロセスを重視し、この名称を使用しています。

今の時代、デジタル(仮想世界、論理)の AI は目まぐるしいスピードで進歩し、完璧に見える答えを提示します。しかし、私たちが生きるアナログ(現実世界、物理)のロボットは、まだデジタルの進歩に追いついていません。

  • デジタルは素直
    仮想世界の中には重力も摩擦もありません。プログラムは常に「数式通り」に動きます。入力と出力が安定します。
  • アナログは理不尽
    現実世界には重力があり、摩擦があります。ロボットのモーターやセンサーには、同じ製品でも個体差があります。これらのノイズのせいで、入力と出力が安定しません。

「プログラムは合っているのに、なぜかロボットが正しく動かない」という現実世界の理不尽なノイズこそが、AI がまだ解決できない領域です。デジタルが提示する正解を、いかにしてアナログな物理世界に適応させるか。この「物理 × 論理」の両面を解決し、最終的な決断を下すことが、エンジニアリングの本質です。

  • 「AIの幻影(ハルシネーション)」と呼ばれる「間違い」を提示する場合があります。

AI はとても便利です。当教室の講師も実務で活用しています。ただ、AI は時に古い情報を最新のように提示したり、もっともらしい「幻影(ハルシネーション)」を見せたりすることがあります。そこで重要になるのが、AI の回答を鵜呑みにせず、「自分の頭で考え、多角的に検証する力」です。

  • デジタルでの検証
    自らプログラムを読み解き、誤りがあれば書き直す。あるいは検索結果や公式ドキュメントと照合し、裏付けを取る。
  • アナログでの検証
    導き出した仮説をロボットという「物理的な実体」で動かし、現実のノイズの中で「本当に正しいか」を確かめる。

この検証を何度も往復して行い、自らの手で納得のいく正解を導き出す姿勢こそが、AI 時代の本物のリテラシー(正しく理解して活用する力)となります。

しかし、このリテラシーを身に付けるためには、自分の中の確かなエンジニアリング的基礎体力(基礎知識や論理的思考力)が不可欠です。自分が理解していないものを、正しいかどうか判断することはできないからです。だからこそ当教室の授業では、あえて AI を使わず自分の頭だけで考えて実践し、基礎体力を養います。また、ロボットという目に見えるフィードバック(反応)を伴うロボットエンジニアリングでは、上記のデジタルとアナログを往復する検証プロセスが自然と身につきます。

これらがあって初めて、将来 AI という強力な道具を使いこなせるようになります。当教室は、この地道な土台作りを何より大切にしています。

アナログがデジタルに追いつき、ロボットがあらゆる現場に完全に適応できるようになるには、もう少し時間がかかります。お子様たちが成人し、社会の第一線で活躍するのは、まさにその「過渡期」〜「成熟期」にあたります。そこで最も必要とされるのは、AI に任せきりにするのではなく、実際に手を動かして物理的な課題を解決する「エンジニアリング」の力です。

建設や配管などのインフラ維持や、社会を支える医療・介護の現場。さらには繊細な感覚を要する料理人や美容師、そして我が町「都城」が誇る大弓などの伝統工芸の職人に至るまで。

人間が「五感と手」を使い、その場の状況に合わせて工夫しなければならない、あらゆる「アナログな現場」に通じる力です。

また、さらにその先の未来、技術がさらに進歩して仕事の形が変わったとしても、当教室で学ぶ「課題を見つけ、解決策を考え、実現する」というエンジニアリングのプロセスは、決して色あせることはありません。時代がどう変わろうとも、自ら考え、形にする力さえあれば、道は必ず切り拓けます。

当教室は、本気のエンジニアが作った「未来の秘密基地」です。お子様がワクワクしながら没頭し、自ら答えを創り出せる。そんな場所でありたいという想いから、この秘密基地は「入口は優しく、到達点は高く」設定された独自の環境を整えています。

  • 課題解決と「ブラックボックス」
    課題とゴール(What)を共有し、その間の仕組み(How)を考えます。適度なヒントを通じて「自力で解けた!」という感覚を大切に育みます。また入口を優しくするため、最初はブラックボックス(まだ仕組みが分からない)状態で学び始めますが、少しずつその中身を紐解いていくことで、本質的な理解へと繋げ、到達点を高くしています。

  • 通常のロボットキットにはない特殊パーツやサードパーティ製部品、コントローラーを積極的に導入。Pybricks(パイブリックス)による高度な制御と組み合わせることで、他では到達できない複雑な仕組みの学習ができる環境を整えています。
  • 集中とやる気を引き出す環境
    難しいことも直感的に扱えるよう、独自に Pybricks の日本語化やアシスト機能を開発し、思考を妨げない環境を構築。また「ヒナタ屋レコード」等で頑張りを評価し、自己肯定感を引き出します。さらに授業後の片付けを講師が行い、自由時間を設けることで、一秒でも長く「試行錯誤」に没頭できる時間を確保しています。

目まぐるしく技術が進歩する今だからこそ、お子様たちに大切なのは何をすべきかを自ら決め、自分だけの正解を創り出す。そして、未来を動かす力を身に付けていくことです。

目まぐるしく技術が進歩する今だからこそ、お子様たちに大切なのは何をすべきかを自ら決め、自分だけの正解を創り出す。そして、未来を動かす力を身に付けていくことです。

当教室はロボットエンジニアリングの原点である、この「試行錯誤のプロセス」をお子様と共に積み重ねていくことで、不透明な未来を切り拓く羅針盤でありたいと考えています。